雇用関係に関する解決合意書
日本の管轄・労働者の権利および法的助言に関する重要な注意
本書は、架空の会社と従業員による協議を題材にした教育用の記入例です。法律上の助言でも、署名すれば必ず全ての請求を消滅させる書面でもありません。日本の労働関係では、労働基準法、労働契約法、最低賃金法、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法、公益通報者保護法、民法および就業規則等が関係します。賃金、割増賃金、年次有給休暇、労災、社会保険、未認識の健康被害、差別・ハラスメント、公益通報その他の法令上放棄できない権利を、単に「一切解決」と書いて放棄させることはできません。退職勧奨が自由な意思を害していないか、解雇・雇止めの有効性、税務上の給与・退職所得の区分、源泉徴収、会社の決裁権限、秘密保持の範囲および労働審判・訴訟・行政相談との関係を、署名前に労働者側と会社側の各専門家へ相談してください。本人の自由な意思、十分な検討期間、正確な請求の特定および実際の支払を大切にします。
1.当事者と背景
本合意書は、2026年9月30日、東京都千代田区神田錦町二丁目11番4号に本店を置く銀杏データソリューションズ株式会社(以下「会社」という。)と、東京都武蔵野市吉祥寺北町一丁目16番9号に住所を有する森川彩子(以下「従業員」という。)との間で締結する。会社の代表権限を有する人事担当取締役は小林亮介、従業員が相談した弁護士は神谷労務法律事務所(東京都新宿区西新宿五丁目3番2号)の神谷真紀である。
従業員は2021年3月4日から会社に雇用され、データ連携部のパートナーシップ・マネージャーとして勤務してきた。会社が予定する事業再編により担当業務と組織が変わる可能性について、当事者間で2026年7月から協議を行った。従業員は評価手続の進め方と配置転換の説明に懸念を示し、会社は業務上の必要性と協議の経緯を説明した。両当事者は、相互に責任を認めることなく、ここに記載した事項を現実的に解決するため本合意書を作成する。
2.雇用終了日と引継ぎ
従業員の雇用契約は、当事者が本合意書に署名し、かつ本条の条件が満たされたことを前提に、2026年10月31日(以下「退職日」という。)に合意退職により終了する。会社は退職日まで通常の基本給、役職手当、通勤費その他の契約上の処遇を支払う。年次有給休暇を取得するか、会社が適法に買い上げるか、引継ぎ期間をどう扱うかは、労働基準法と就業規則に照らして人事担当者が書面で確認する。会社は退職日までに会社都合の一方的な不利益変更や、合意していない懲戒を行わない。
従業員は、顧客一覧、会議資料、会社のノートパソコン、入館証、貸与スマートフォン、鍵、記録媒体および未公開データを、原則として退職日または会社が合理的に指定する日までに返却する。私物と会社資料を区別し、会社は従業員の私物データを不必要に閲覧しない。従業員は9月25日までに、後任の松田悠斗へ進行中の案件、パスワードを含まない業務手順、顧客との約束、未処理のリスクおよび保管場所を引き継ぐ。引継ぎに必要な残業は事前承認を受け、法定割増賃金その他の法定処遇を受ける。
会社は退職日までの給与、未払いの時間外労働賃金、確定した立替経費および未消化年休の取扱いを、通常の給与計算と法定の賃金支払期日に従って精算する。会社は賃金台帳、源泉徴収票、雇用保険の離職票、健康保険・厚生年金の資格喪失関係書類を、法令上必要な時期に交付する。
3.解決金と費用
会社は、本合意書に定める約束の対価として、従業員に解決金金187万5,000円(税務上の取扱いは法令と実態による)を支払う。支払日は、退職日と、双方が署名した本合意書および弁護士の確認書を会社が受領した日とのいずれか遅い日から14日以内とし、従業員名義の銀行口座へ振り込む。振込手数料は会社が負担する。会社は、給与または退職所得等に当たる部分について源泉徴収その他法定処理を行い、従業員へ支払明細と必要な証明を交付する。会社は手取り額を保証せず、従業員は個別の税務助言を受ける。
会社は、本合意書の内容と、従業員が神谷弁護士から受ける相談に関する合理的な費用として、金24万円(税込)を上限に、従業員宛ての請求書を受けて同法律事務所へ直接支払う。この支払は、本合意書の確認に必要な相談に限り、神谷弁護士が会社の代理人になることを意味しない。未払賃金、立替経費、法定給付および合意金の支払は、別々の項目として明細化する。
4.解決する請求と保存される権利
解決金が全額支払われたことを条件として、従業員は、本合意書の締結日までに会社へ開示し、別紙「確認済み請求一覧」に具体的に記載された、配置転換の協議、評価手続および退職条件に関する契約上・民事上の請求を、法令が許す最大限度で解決する。別紙には、対象期間、出来事、相手方、請求の種類、既払額および合意金との関係を記載し、当事者が各ページに確認印を付す。
この合意は、(a)本合意書の履行請求、(b)合意金支払前の未払賃金・割増賃金・経費、(c)健康被害または労災のうち署名時に合理的に知り得なかったもの、(d)退職後に発生した事実、(e)公的年金、雇用保険、健康保険その他の公法上の権利、(f)法令上放棄できない権利、(g)裁判所、労働局、監督署その他行政機関への正当な申告・協力、(h)公益通報および安全に関する相談を放棄させない。会社は違法行為を認めるものではなく、従業員は会社の主張を全面的に認めるものではない。
会社は、従業員が別紙に記載されていない請求を現時点で知り、かつ本合意書に反して意図的に隠しているわけではないことを確認する。ただし、これは従業員に法律上不可能な確認や、専門家への相談の放棄を求めるものではない。会社は、従業員に対する残存債務がある場合、解決金の支払によってそれを当然に相殺しない。
5.在籍証明、対外発表および秘密保持
会社は、従業員から求められたとき、別紙の確認済み書式により、在籍期間、最終職位および担当業務を事実に即して証明する。会社と従業員は、同僚・顧客に対し、「組織再編に伴う協議を経て、森川彩子は2026年10月31日に退職し、双方は今後の発展を願っている」と説明する。いずれも虚偽、侮辱、報復または故意に誤解を招く発表をしない。
当事者は、本合意書、交渉、別紙および相手方の非公開情報を、履行に必要な範囲で秘密として扱う。ただし、配偶者・家族、弁護士・税理士・社労士、医師、金融機関、保険会社、税務署、裁判所、労働局、監督署、警察、取締役会、監査人その他法令上または専門職上必要な受領者への開示は妨げない。開示する者には可能な範囲で守秘を求める。秘密保持条項は、労働条件についての適法な相談、公益通報、違法行為の申告、差別・ハラスメントへの救済申立てまたは法令上保護される言論を制限しない。
6.助言、自由意思および権限
従業員は、署名前に本合意書を読み、少なくとも7日間検討する機会を得た。神谷真紀弁護士は、従業員に対し、退職の効果、解決金、対象請求、秘密保持、税務および署名を拒否した場合に利用できる相談・紛争手続の一般的な意味を説明した。従業員は、会社の強要、詐欺、誤解または不当な圧力によらず、質問への回答を受けた上で、自らの意思で署名する。会社は、支払と引換えに弁護士の独立性を害するよう求めない。
小林亮介は、会社を代表して本合意書を締結する権限があることを確認する。いずれの当事者も、相手方が本書にない約束をしたことを前提にしていない。変更、請求一覧の追加または支払日の変更は、双方の署名した書面でのみ行う。条項の一部が無効でも、放棄できない権利を保護するよう必要最小限に修正し、残りを有効とする。
7.不履行、準拠法および署名
会社が支払を遅延した場合、従業員は書面で催告し、未払金、遅延損害金その他日本法が認める救済を求められる。従業員が返却義務、秘密保持または虚偽発表禁止に重大に違反した場合、会社は相当な通知を行い、法令に従って損害賠償その他の救済を求める。ただし、違反を理由として法定賃金や放棄できない権利を差し引かない。
本合意書は日本法に準拠し、労働基準法、労働契約法その他の強行法規および労働審判・訴訟の管轄規則を妨げない。当事者は、紛争が生じたとき、まず相手方へ事実と資料を示して協議するが、行政相談、労働審判、調停または訴訟を利用する権利を失わない。本書は、その形式または内容が実際の状況に適合するかを、締結前に労働法の専門家が確認することを想定する。
会社:銀杏データソリューションズ株式会社 人事担当取締役 小林亮介 署名:____________________ 印 日付:2026年9月30日
従業員:森川彩子 署名:____________________ 印 日付:2026年9月30日
相談担当者の確認(当事者の代理・保証ではない)
神谷真紀弁護士は、森川彩子から依頼を受け、本合意書の内容と効果について独立した立場から説明し、質問を受けたことを確認する。ただし、最終的な税務・医療・社会保険の判断および署名するかどうかは従業員自身が決定する。
署名:____________________ 日付:2026年9月30日